高病原性ウイルスパンデミックに迅速対応可能なハイスループット中和抗体検査法の開発

代表挨拶|高病原性ウイルスパンデミックに迅速対応可能なハイスループット中和抗体検査法の開発 代表挨拶|高病原性ウイルスパンデミックに迅速対応可能なハイスループット中和抗体検査法の開発

代表挨拶

このたび、AMED事業の支援を受けて「高病原性ウイルスパンデミックに迅速対応可能なハイスループット中和抗体検査法の開発」として、研究班を立ち上げることになりました。

本研究班の目的は、新型コロナウイルス感染症も含めた未知の病原体が出てきたときに、私たちの免疫の中で特に中和抗体とよばれる、ウイルスが細胞に感染することを阻害する役目をもつ抗体を大規模に測定できる方法を開発することです。

今回、この研究班を立案する際には、3つの大切なことがありました。それは、(1)中和抗体の評価に発展できるような技術があること、(2)採血時に手間や感染リスクを低下させられること、(3)実際のヒトで検証できること、です。本研究班ではそれぞれに対して、(1)には研究分担の谷英樹が長年取り組んできた技術が、(2)には私が培ってきた感染症専門医と検査専門医としての知識と経験が、(3)には研究分担の山本善裕が感染症専門医からの病像の詳細解析が、最大限に活かされると考えました。研究者単独での取り組みでは決して達成できないため、通常は複数の施設間で協力するところですが、今回は奇遇にも三者が同一施設内という条件が揃っていました。採択までに研究分担の谷は富山県衛生研究所に移りましたが、地理的にも近くコロナ禍の中でも密に連携しながら研究を行えるという独自のアドバンテージがあります。

パンデミックとしては、これからもまた新しい微生物が出てくる可能性があります。本研究班では、今をしのぐだけでなく、後進を育成することにも目的に含んでいます。特に若い医師が、どのように基礎から臨床に発展させるかを目の前で学ぶことは次のパンデミックに備えとして大切で、このような面でも同じ施設で行えるメリットがあります。

本研究は、患者さんを含めて多くの人たちの協力ではじめて成り立っていくものです。貴重なサンプルを最大限に活かして、実りのある研究成果につながるように、また将来のパンデミックにも対応できる体制づくりができるように尽力してまいります。

研究開発代表者
森永芳智

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